地中熱は、いつでもどこでも安定して利用できる自然エネルギー。海外ではすでに地中熱利用システム(地中熱利用ヒートポンプシステム・地下水利用システム・地下熱利用システム・温泉排湯熱回収システム)が普及しており、日本においても注目が集まっています。今、地中熱利用システムを導入すべき理由を、5つの特徴に分けてご説明します。
石油やガスを用いた暖房・給湯と比べた場合、地中熱利用システムは電力のみで稼働するため、地球温暖化の原因となるCO2(温室効果ガス)を直接排出しません。空調など利用時のCO2の排出量を減らせます。
地中熱利用システムは夏の冷房排熱を外気に放出しないため、ヒートアイランド現象の緩和が期待できます。オフィスビル街区を地中熱利用システムに置き換えた場合、最高気温で1.2℃程度、住宅街では0.3℃程度の気温低減効果が期待できるとの試算も出ています。
地中熱利用システムは、どんな場所でも利用できます。同じ再生可能エネルギーである太陽光発電のように天候に左右されることもなく、安定的に利用可能。季節を問わず安定した熱源となります。また、空気式ヒートポンプが適さない寒冷地においても問題なく使用できます。
地中熱利用システムは耐用年数が長いのが特徴。国内におけるクローズドループ方式の施工事例は、30年程ですが地下熱源設備(熱交換井)が破損したという事例はありません(オープンループ方式の施工事例は、水質や使用頻度などによって異なるため、定量的なデータはありません)。また、メンテナンスもほとんど不要です。
また、地中熱利用システムの設備機器は半永久の耐久性を誇ります。既存建物を建て替える場合や隣に建物を新築する場合などは、再利用・拡張利用が可能です。
>>イニシャルコストの負担は補助金でカバー
地中熱利用システムを導入すると冷暖房などの熱を交換するシステムが高効率化し、高い省エネ効果が得られます。ヒートポンプへの負荷も少なく、消費電力も低減。特に温度差の大きいピーク時の消費を抑制でき、従来の方式に比べ30~50%の省エネ効果があると言われています。
地震は地盤全体が震動するため、地下埋設物への影響は小さいと考えられます。最近発生した大地震でもトンネルや地下構造物が大きく破損した報告は見受けられません。クローズドループ方式では、埋設部の材料は伸縮性の高い高密度ポリエチレン管を使用しており、ある程度の変位には追随できるものになっています。また、オープンループ方式では、地震災害時には、防災井戸として活用することも考えられます。